「胃瘻で栄養を受けているのだけれど、自宅で過ごすことはできますか?」と相談されたでござる。大丈夫であるか??
可能ですよ!今日は自宅での経腸栄養についてご説明しますね。
はじめに
胃瘻を通じて経腸栄養を受ける患者さんにとって、自宅でのケアは安心でありながらも多くの疑問や不安が伴います。この記事では、在宅で経腸栄養を行う際の基本的な知識や注意点についてご紹介します。
1. 胃瘻と経鼻経管栄養
食べ物や飲み物を口から摂取することが困難な患者さんが栄養を摂取するために、主に胃瘻(いろう)と経鼻経管栄養の2種類があります。
胃瘻は胃に直接チューブを挿入し、栄養を送る方法です。胃瘻を作るには内視鏡で作る方法と開腹手術で作る方法があります。胃瘻のチューブの種類はおもに4パターンあり、それに応じて1−6ヶ月ごとに交換が必要となります。
経鼻経管栄養は鼻から管を胃まで通して栄養を投与する方法です。基本的に1ヶ月1回の交換が必要です。在宅での交換には色素水を用いた方法や光源ファイバーを用いた方法があります。
2. 在宅経腸栄養のメリット
•生活の質向上:自宅で過ごしたいという思いを叶え、大切な人と一緒に過ごすことで生活の質の向上が期待できます。
•医療保険の利用可能:エンシュア・HやラコールNFなど、保険医薬品として処方が可能な栄養剤を使用可能です。また、訪問診療を受ける場合は経管栄養に用いるチューブなどは医療機関より提供可能です。
3. 必要な準備
在宅で経腸栄養を行うためには、以下の準備が必要です。
•栄養剤の選定:患者さんの状態に応じた適切な栄養剤を医師や管理栄養士と相談して選びます。
•機器の準備:チューブやシリンジなどの器具は医療機関から提供可能です。手袋や消毒液など、一部患者さん宅で揃えていただく必要のあるものもありますので、導入時にご説明します。
•清潔な環境:感染予防のため、栄養を注入する際の手順や環境の清潔さを保つことが重要です。
4. 経腸栄養の手順
1. 手洗い:清潔な手で行うことが基本です。手洗いを徹底しましょう。
2. 栄養剤の準備:適切な温度(常温)にした栄養剤を用意します。
3. チューブの確認:チューブの位置や状態を確認し、異常がないことを確かめます。
4. 栄養の注入:決められた速度で栄養を注入します。
5. 後片付け:使用した器具の洗浄と保管、注入後の患者さんの体調確認を行います。
5. 注意点
•感染予防:常に清潔な手と器具で行うことが重要です。
•栄養バランス:医師と相談し、適切な栄養バランスを保つよう心がけます。
•体調管理:発熱や栄養剤の逆流など異常がある場合は、速やかに医師に相談しましょう。
6. 同居される方のサポート
在宅での経腸栄養は、ご家族や同居される方のサポートが必要になります。ケアの手順を理解し、協力することで、患者さんはより安心して過ごすことができます。
未経験であっても、当院のスタッフより指導が可能です。お困りのときはご相談ください。
まとめ
在宅における経腸栄養は、適切な準備と手順を守ることで、安全かつ効果的に行うことができます。疑問や不安がある場合は、医療専門家に相談し、適切な指導を受けることが大切です。
在宅経腸栄養を受ける皆様が安心して生活を続けられるよう、当院としてもサポートをさせていただきます。お気軽にご相談ください。
なるほど…胃瘻や経鼻胃管で栄養を投与していても、自宅や施設で過ごせる、ということですな!
そうです!制度や器材など、複雑で分かりづらい点もあるので、お気軽に相談してくださいね。
参考資料
患者さんとご家族、介護職の方のための 在宅経腸栄養法の手引き
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