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2025.10.15

【組織のかたちと医療のかたち ~『失敗の本質』から考える~】

最近、『失敗の本質――日本軍の組織的研究』(戸部良一ほか著/中央公論新社)という本を読みました。

40年ほど前に刊行された古い本ですが、改めて読み返してみると、組織のあり方や意思決定の仕組みについて考える多くのヒントがあり、現代の医療現場にも通じる部分があることに気づかされました。

この本は、太平洋戦争における日本軍の敗因を、組織という視点から分析したものです。

 

一見すると医療とは無関係のように思えますが、「失敗の原因を個人に求めるのではなく、組織の文化や構造に目を向ける」という視点は、医療の職場にも重なると感じました。

たとえば、現場の声が上層に届きにくい仕組みや、柔軟な対応が難しい風土など、組織の「かたち」が人の判断や行動に影響を与えるという考え方です。

 

医療の現場でも、うまくいかなかった出来事に対して個人を責めるのではなく、「なぜそうなったのか」「どうすれば防げたのか」と職員同士で振り返り、次につなげていくことがとても大切です。

そうした姿勢は、患者さんにとって安心・安全な医療につながるだけでなく、働く職員を守ることにもなります。

 

福岡ハートネット病院では、『一人ひとりの生き方を支え、街づくりに貢献する』というビジョンを掲げています。

私はこの言葉がとても好きです。

この「一人ひとり」には、患者さんだけでなく、地域に暮らす人々、そして医療を支える職員自身も含まれていると感じるからです。

 

日々の現場では、患者さんからのお叱りや励まし、感謝の言葉をいただくこともあり、嬉しいこと、悩ましいこと、時にはつらい出来事もあります。

その一つひとつに丁寧に向き合いながら、患者さんや地域の方々との対話、職員同士の学びや気づきを重ねていく中で、少しずつ福岡ハートネット病院のビジョンに近づいていけたらと思います。

 

看護師