先日、テレビ西日本社の記者のチカラで、看取り難民をテーマにホスピス住宅について放送されました。
在宅診療科 大森医師が取材を受けました。
ホスピス、緩和ケアって聞いたことはあるけど、よくわからないであーる
”緩和ケア”と”ホスピス”
前提としてこの2つの語句について、意味が重なる部分もあり、人によって理解・解釈が異なることがあります。
専門団体(以下参照)によれば、ホスピス(あるいはホスピスケア)は死にゆく人のための全人的な(=体だけでなく心や社会的な苦痛も含めて)ケアを提供することを指します。
ホスピスとは
ホスピスについて本格的に取り組まれ始めたのは1960年代のイギリスです。シシリー・ソンダースという医師(看護師・ソーシャルワーカー資格も)が死にゆく人へのケアを提供する施設 セントクリストファー・ホスピスを作りました。このため、ホスピスを「(そうした終末期ケアが提供される)場所・施設」として捉えられることもあります。
いわゆる「ホスピス施設」は病院に限らず、介護施設もあります。また在宅ホスピスという概念で、自宅でホスピスケアを受けられるような仕組みもあります。
日本は病床数も多く、診療報酬上も優遇されているためか、ホスピス=病院であることが中心で、日本ではホスピス施設を銘打っているところはそう多くありません。日本ホスピス緩和ケア協会などのNPO団体があります。
米国のHospice care
ややこしいのですが、米国の公的保険制度(Medicare)の中にHospice care というものがあり、これは末期の人に終末期医療を保険で提供するための制度になります。
緩和ケアについて
対して緩和ケアには世界保健機関(WHO)の定義が明示されています。
「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。」
「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002)」定訳 | 日本緩和医療学会 – Japanese Society for Palliative Medicine
学術団体として日本緩和医療学会があります。
まとめ
ホスピスは終末期(人生の最終段階という表記に統一されつつあります)に焦点をあてた全人的なケアであるのに対し、緩和ケアは診断時から症状を緩和するためのアプローチとされています。いずれも苦痛を緩和し、人生の最後を自分らしく過ごすために必要なことであることは共通しています。
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