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2024.05.10

【訪問診療ブログ #10】自宅で強心薬治療ができる!

重度の心不全の治療に強心薬(ドブタミン、ミルリノンなど)を使用することがあります。

これらの薬剤は原則24時間持続で注射が必要であり、投与中は慎重な経過観察と調整が必要です。

令和6年の診療報酬改定で、在宅強心剤持続投与指導管理料が新設され、自宅でも強心剤治療を行えるような整備が進んでいます。

そもそも自宅で強心剤を投与するのはどうするんじゃ?

当院では5%ブドウ糖液 500mlにドブタミンを溶解し、2−3日に1回点滴を交換するようにしています。 ポンプは通常の点滴ポンプを用いて、7ml/hで投与をしています。 投与経路はPICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)を使用しています。

PICC
点滴ポンプ

けっこう大掛かりですのね

そうなんですよね…。結構ポンプも重たいし、24時間繋ぎっぱなしなので、管理は大変です。 ですが、点滴を外すことができず入院し続けている心不全の方もいます。 そういった方にとって、在宅強心剤治療の選択肢はとても重要になります。 それにしても、今後ポンプが小さくなるといいですね。

在宅強心剤持続投与指導管理料の新設 について

令和6年度診療報酬改定で、訪問診療で強心剤持続投与をすることを支援する管理料が新設されました。

主要な算定要件は以下になります。

  • 在宅強心剤持続投与指導管理料は、循環血液量の補正のみでは心原性ショック(Killip 分類 class Ⅳ)からの離脱が困難な心不全の患者であって、安定した病状にある患者に対して、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ又は輸液ポンプを用いて強心剤の持続投与を行い、当該治療に関する指導管理を行った場合に算定。
  • 実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守すること。
  • 当該指導管理料を算定する医師は、心不全の治療に関し、専門の知識並びに5年以上の経験を有する常勤の医師であること。

令和6年度診療報酬改定の概要 【在宅(在宅医療、訪問看護)】 厚生労働省保険局医療課(P13に記載)

 

関係学会の定める診療に関する指針・・・とな?

これは日本心不全学会から指針が発表されています。 以下に共有しますね。

重症心不全患者への在宅静注強心薬持続投与指針について

重症心不全患者への在宅静注強心薬持続投与指針 第1版 日本心不全学会 日本在宅医療連合学会

医療の発展に伴い重症心不全への静注強心薬持続投与の離脱困難例が増え、長期入院から在宅での持続投与管理を必要とする症例が増えてきました。このような症例の管理を行う医師および医療スタッフに対して、在宅での静注強心薬持続投与の適応と実施要件、多職種の役割や実務、在宅管理に伴う問題点などを周知することが重要であると判断し、このたび日本心不全学会および日本在宅医療連合学会の合同で指針を作成いたしました。本指針が、心不全患者とその家族の生活の質の向上へつながることを願います。(上記サイトより引用)

在宅静注強心薬療法の実施要件(上記URLより引用)
在宅静注強心薬療法の実施要件(上記URLより引用)

・・・めちゃくちゃ細かく決められているでござるな

・・・確かに、かなり細かいですね。 当院は 「4. 患者の在宅療養を管理・支援する医療機関(管理・支援医療機関)の要件」を満たしていますので、今後もこの制度を活用し、在宅強心剤治療が必要な方を受け入れることができるよう準備を進めてまいります。


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